テレキャスターシンラインの特徴
フェンダー・テレキャスター・シンラインは、レオ・フェンダーによって更なるエレキギターボディの軽量化を目指し、1969年にリリース。ボディ部分はくりぬいて蓋をしたセミソリッド・ボディ構造になっている。
また、フェンダー社としては初めてボディにマホガニーが使用されたモデルでもあり、テレキャスター、ストラトキャスターと共に生産が中断されることが一度も無く継続されている。現在リリースされているテレキャスター・シンラインは、この69年式と72年式のリイシューを基調としている。
通常のセミアコよりもボディサイズが小さく、ハウリングが起こりにくく甘いトーンを得られる。重量は普通のテレキャスターがだいたい3.7キロ程度であるのに対して、だいたい3.4キロほ程度のことが多い。そのため、ストラップを使って立って弾く時に、手を離すとネック側がその重さのために下がってしまう「ネック落ち」という現象が見られる個体もある。
ピックアップ
69年式は通常のテレキャスターとフロントピックアップのマウント方法に違いがあり、シンラインではハウリングを懸念してピックガードから吊り下げる方式を取っている。このピックガードマウントによって、より甘いニュアンスのサウンドを得ることになった。
一方、72年式には「ワイドレンジ・ハムバッカー」ピックアップが二つ搭載されている。これはギブソンから移籍したハムバッカーピックアップの開発者、セス・ラバー氏がフェンダー用に新たに開発したもので、「フェンダーギターのサウンドはナチュラルでブライトなサウンドが特徴だ」と考えており、通常のハムバッカーよりも高音域が豊かにアウトプットされる、ギブソンとは一線を画すハムバッカーを考案したのだと言われている。
サウンド
テレキャスター特有のソリッドなアタックとコシの強い弦振動に、ホロウボディが生み出す若干甘い、また丸いニュアンスが加わった独特のサウンド。複雑な倍音を含んだ、ふくよかで甘いトーンだが、一般的なセミアコよりもボディが小さい分、得られるエアー感はそれほど際立ったものではない。
リアで歪ませるとクランチ感豊かなサウンドが得られ、太くても重過ぎない印象。フロントはマウント方法の違いから、甘いながらも澄んだ印象のサウンド。生音も通常のエレキギターよりもやや大きく、アンプにつながない練習もやりやすい。
僕の使用しているモデル
Made in Japan Traditional 69 Telecaster Thinline
ボディにマホガニー材を採用、中域が豊かで温かなトーンが特徴のモデル。ビンテージスタイル・フレット/ビンテージスタイル・シングルコイル・ピックアップ/メイプルネックという69年製シンライン をモデルとしたスペックです。また、ヘッドのロゴデザインが60年代中期に採用されたトランジションロゴ(通称「トラロゴ」)と呼ばれる大きく太い字体となっているのが、このモデルの特徴です。
テレキャスターシンラインの主な愛用者
カーティス・メイフィールド
スライ・ストーン
ドノヴァン・フランケンレイター
ダニー・コーチマー
星野源
小沢健二