CULTURE

FKJ / French Kiwi Juice

アルバム情報

これまでにサウンドクラウド上で作品を発表し、多くの耳早いリスナーから注目を集めていたFKJの2017年発表のデビューアルバム。7つの楽器を自在に操る驚愕のライヴ・パフォーマンスと、ヒップホップ的なサンプリング&ビートのセンス、そしてニュージャズからR&B、フレンチ・ハウスの要素をも飲み込んだレイドバックしたサウンドが特徴のデビュー・アルバム。

サウンドクラウドで340万回以上の再生回数を誇る、チャンス・ザ・ラッパーと同じシカゴのヒップホップ・クルー、Save Money Crewに所属するラッパー、Towkioがビートジャックしたことでも有名になったシングル「Lying Together」収録。

これまでにネット上で人気を集めてきた「Better Give U up」や「 Go Back Home」、「Lying Together」などの代表曲に加え、アンビエントな雰囲気のリード曲「Skyline」など、進化し続けるFKJの魅力を余すことなく収録。 柔らかな音像と繊細なヴォーカルで滑らかに紡がれる優美なベッドルーム・サウンドは、「アンビエントでメロウでセクシー」という謳い文句がまさにしっくりとくる、不思議な室内感と開放感を兼備している。

アーティスト情報

その名が示唆するようにニュージーランド系の血を引くフランスのマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサーであるフレンチ・キウイ・ジュース(FKJ)によるプロジェクト。

7歳でサックスを始め、1人で7つの楽器を独学で習得、それらを操るライブ・パフォーマンスと、ヒップホップ的なサンプリングとビートのセンス、R&Bの要素も含むメロウネスなムードとフレンチ・エレクトロの系譜をなぞるような洗練されたグルーヴを特徴としており、これまでにサウンドグラウド上を主戦場として楽曲を発表してきている。

キーボード、ギター、サックス、サンプラー、ベース、ラップトップPCそしてヴォーカルと、1人で七役をこなしながらインプロヴィゼーションで楽曲を制作するムーヴィーも話題になった。

またこれまでにマセーゴやトムミッシュなど多くのネオソウル系アーティストともコラボしており、今後コラボレーションしたい相手としてダニエル・シーザー、テニスン等を上げ、永遠にコラボレーションを望んでいる相手はディアンジェロだと公言している。

レビュー

初めてFKJを知ったのは、Towkioがビートジャックしたことでも有名になったシングル「Lying Together」ではなく、キーボード、ギター、サックス、サンプラー、ベース、ラップトップPCそしてヴォーカルと、1人で七役をこなしながらインプロヴィゼーションで楽曲を制作するYoutube動画でした。

ルーパーを使用して音源を重ねていく手法は今では珍しいことではないですが、これだけ多くの楽器を自在にかつインプロで楽曲の構成を崩すことなく作り上げていくことに衝撃を受けました。

その後、マセーゴやトムミッシュなど同世代のミュージシャンともコラボし待望のデビューアルバムを発表するわけですが、アルバムは同世代のネオソウル系アーティストのようにディアンジェロやエリカバドゥらに影響を受けたメロウネスなメロディと音数の少ない洗練されたトラックで統一されながらも、フレンチエレクトロ以降のマッシュアップ、サンプリングセンスを随所にちりばめていて非常に完成度の高い上質なアルバムになっていると思います。

エリカバドゥやシャーデーを思わせるジャジーなサックスが印象的なM1、アンビエントなメロウフィーリングが心地よいM2、フレンチエレクトロをオーガニックな雰囲気で包んだM3、いわゆる「Just the two of us 進行」でテルマ・ヒューストンのダンクラ名曲「Don't Leave Me This Way」をカット&ペーストしたフレンチエレクトロキラーチューンM10など、捨て曲なし。

個人的にトムミッシュのデビューアルバム「Geography」と並ぶ、僕の音楽の聴き方を変えたエポックメイキングなアルバムです。

-CULTURE