
トーイ
アメリカンロック、R&Bが好きな人には避けては通れない聖地、マッスルショールズの物語を見られるだけでしびれます!
アメリカの60〜70年代のR&B、サザンロックを語る上で避けては通ることのできない、アラバマ州マッスルショールズにあるFAMEスタジオとマッスルショールズサウンドスタジオ。
そのFAMEスタジオのオーナー兼プロデューサーのリック・ホールと、FAMEスタジオのリズムセクション隊「スワンパーズ」の面々、そして彼らに関わりの深いミュージシャンたちへのインタビューと貴重な映像を見られるドキュメンタリー映画です。
パーシー・スレッジ「男が女を愛する時」、ウィルソン・ピケット「ムスタングサリー」、アレサ・フランクリン「貴方だけを愛して」など、これらのスタジオから生まれ、70年代にはローリング・ストーンズ、ボズ・スキャッグス、ボブ・シーガーなどスータースターがこぞってこの地に録音にやってきます。ミュージシャンにとっては聖地といっていい場所、それがマッスルショールズなのです。
アメリカ南部の田舎から、しかも白人のミュージシャンがどうしてこんなにファンキーで泥臭くて素晴らしい演奏を次々と残せたのか、本当に不思議です。ウィルソン・ピケットが初めてFAMEスタジオにやってきたときにスワンパーズのメンツを見て、本当にこいつらに演奏させる気かとリックと揉めたという逸話もうなづけます。
話はFAMEスタジオの誕生から黄金期、スワンパーズがFAMEスタジオから独立しマッスルショールズスタジオを立ち上げるまで、そして現在のマッスルショールズへと流れていきます。
話のキーはやはりFAMEスタジオを設立したリック・ホールの人生の物語にあると思います。極貧生活、最初の妻を自身の交通事故で亡くし、最愛の父も事故で立て続けに亡くします。その身の上からクラレンス・カーターバージョンの「パッチズ」が生まれたというのも感慨深いです。
また、彼を支えたスワンパーズの面々が、その泥臭いファンキーなサウンドについて「俺たちはそれを滑らかにする方法を知らなかっただけ」と語るシーンも胸を打ちます。
そんな彼らもリックの元から旅立ち、新たにマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオを設立し、少なからず両者には怨恨が残ります。映画は彼らがこれまでのことを水に流して久々に再会し、アリシア・キーズを迎えて行った特別なセッションで締め括られます。
惜しくも2018年に他界したリック・ホールがいなかったら、今のR&Bシーンは違ったものになっていたかもしれません。

トーイ
マッスルショールズのスタジオミュージシャン達は、数多くのアーティストに影響をあたえました。細野晴臣さんもそのひとりだそうです。